つながり

決めなくてもいいから、いっぱい話をしよう

人生会議のポスターが発信され、大きな話題になってます。

厚労省の委員会に所属していた私にも、このポスターの内容、表記について本当に確認はなかったの?などの問い合わせがたくさんありました。確認はありませんでしたし、僕自身、このポスターを見た時は驚きました。こりゃぁダメでしょ、とも思いました。

同時に、小籔千豊さんと厚労省の委員としてご一緒することが決まった時に読んだ、小藪さんのお母さんを看取った時の思いを記事で読んでいたので
納得もいきました。このような経験をした方は、こういう風に伝えたい気持ちになるだろうな、と。同じようにおっしゃる患者さん家族にもたくさん会って来たからです。

小藪さんが、あのようにポスターに表現し演じた行動や気持ち、僕は共感と納得しかありません。言葉は強いかもしれませんが、本当に思ったことを伝えていると思いました。もちろん小藪さんは医療者ではありませんから、僕たちが毎日接している患者さん、患者さんのご家族に最も近い心を表現しようとした、という部分もあるのではないかと。

それらを否定するエネルギーが渦巻いていることに、とても複雑な想いでした。
厚生労働省、すなわち国のポスターだったから、ダメなのでしょうか。
人生会議、といってもイメージは様々なものがあります。

このような表現はダメだ、と思う人はたくさんいるでしょうし、
かと言って、実際現場で起こっているそのような状況を医療チームが助けられているわけでもないし、
患者さん本人は亡くなってしまった後で、
家族や医療者が主語の言葉であとは語られ「これでよかった」または「これではダメだった」と本人の本心はどこへ行ったかわからない状態で完結させられている場面をよく見て、違和感を覚えています。

とにかく、
いろんな考え方があってもいいよ。から始まる人生会議に、
今回のような発信はダメだ、という議論を許さない雰囲気は、怖いと思いました。

一方で、ポジティブに「これからは人生会議を広めましょう」と言ったところで、(普段学会などで会うと人生会議大事ですよね、とか言っていても)シェアも拡散も意見もくれない先生たちが、今回のポスターでは大々的に発言、発信、シェア、コメントをくれたことには、逆に一つの可能性を感じました。
人生会議、という言葉が、これだけのスピードで拡散していること。今まで一度も聞いたことも考えたこともなかった人たちの目に触れたこと。そこが難しくて唸ってきた僕としては、意外な気持ちです。

不快に思う、患者さん、ご家族がいらっしゃることに関しては申し訳ない、と思います。
一方で、不快だと感じている理由の中に、患者本人が主語でない意見も多くあるようにも感じました。

著書「なんとめでたいご臨終」で在宅医療を牽引する小笠原文雄先生が、講演でおっしゃっていました。
終末期の癌なのに、本人の想いはよそに、家族と医療者で結託して、本人に真実を伝えていないことが、なんと未だに日本にはあります(昭和の時代では当たり前だったのですが)。
それでは、本人が自分の人生の方針を決めることができません。最後には必ず本人は気づき、伝えてくれなかったという家族や医療者に対する不信感を抱きながら亡くなっていくことも多いのですが、それでも、本人に伝える勇気が出ない家族側を支援する医療チームも多いです。
なので、小笠原先生は在宅療養が始まった時に、その情報を本人にもしっかり話すのです。
本人も「聞きたくなかった」と嘆き、家族も「伝えたくなった」と怒ることもあるそうです。
しかし、しばらくの怒りと嘆きの時間が過ぎると、
「あなたが、初めて、真実を言ってくれた」と、残された時間でやりたかったこと、言いたかったことを語り始める。
そこからが、やっと支える時間が始まる。そんな場面も在宅医療の現場ではよくあります。

家族や医療者が、真実から逃げる限り、本人の選択は無くなります。そして、本人がいなくなってから、家族や医療者が言う「これでよかった」には、亡くなった本人主語のよかったはありません。

人生会議、という、
普段から そして、何かあった時も
話し合い続ける文化が必要です。

今回のポスター、
僕は、こりゃダメでしょ、という感覚をスタートに
これしかナイでしょ、という想いにもなり始めています。
よくわかりません。でも、だからこそ、対話を続けたい。

お願いですから、白か黒かでぶった切らないでください。
対話がしたいです。

今週末、
小藪さんと なんばグランド花月でご一緒します。
「小籔大説教 特別編 ~あなたの悩みを説教全開で解決しまくる笑いゼロの2時間半で「人生会議」についてもお話するバージョン~」
僕はこの時間をとても楽しみにしてきました。今も気持ちは変わりません。
どんな言葉を交わして、まっすぐコトに向かっていけるのか。しっかり務めてこようと思います。